NYはハングリーな人達が多い。
NYに来て一度でも地下鉄に乗った人なら分かるけど、とにかく何としてでもお金を貰ってやろうって人がいっぱいいる。
お金をくれくれといいながらうろつく浮浪者、
HIPHOPのパフォーマンスをする少年たち、
突然プロの様な歌声で歌いだすヒスパニックの少女達。
マイケルジャクソンの物まねをしちゃう人。(この人はすごい有名。)
大抵、パフォーマンスの時間は、一駅と一駅の間の3、4分間だ。パフォーマンスが終われば、さっさと次の車両に移動して、「よってらっしゃい、見てらっしゃい!」「俺達の歌声を聴いて頂戴よ!」ってな具合でどんどん芸を始めていく。
下手をすると、一日の内にこういったグループに2、3回遭遇する。観客も何度も何度もこういうグループに遭遇するから、彼らの芸を見る目はとてもシビアだ。芸が良ければ、5分程度で2、30ドル稼げるし、芸が悪ければ何もなし。非常にフェアだ。
そんな中で何も芸の無い人たちはどうするのか?
答えは、電池、キャンディー、チョコ、違法コピーのDVDを売ったりする。ところが、こういう輩は大勢いるため競合が多くてなかなか稼げない。そこでこういう競合が多いところでは、何かの工夫をして売ることになる。
例えば、6歳位のかわいい女の子に売らせる。(父親みたいのが後ろから着いてくる。)若しくは、バスケットのチームを作りたいからお金を集めています。とストーリーを作って、応援する気持ちを持ってもらってお金を集める。または、麻薬をやってて抜け出したからとか。
とにかく、キャンディー、チョコ、違法のDVD販売は、競合の中で突出した競争力を持つのが非常に難しい。
そんな中でも非常に関心した違法のDVDを売り出してるマーケティングの例が一つあった。
今日僕が乗っていた電車に突然入り込んできた3人組の男達。
一人は、おもむろに、携帯用DVDプレイヤーを再生しだして、みんなに見せて説明をし始める。
「みなさーん、みなさーん、激安のDVDですよー。他の違法のDVDよりも画質がはるかに良いDVDなんですよ。みんな見てくださーい!」
非常にうるさいんだけど、確かに違法にしては高画質。(普通違法のは劇場でカメラを回してとった物なので画像がわるい。安かろう悪かろうなのでみんな買わない。ところが、彼は客が興味を持ったDVDをその場で早送りで見せるので信頼性がある。
そして、もう一人の男は、ちらしを配りはじめる。そのちらしを見ると、「激安最新DVD、7月1日に更新した新刊映画リスト!」って書いてあって、その下には、彼らのウェブサイト、携帯電話などが詳細に書いてある。さらに、NYの地下鉄が通ってるところなら全て配送量無料で届けてくれるとの事。
違法だけど、これはすごいお得だ。
もっと驚きだったけど、彼らのサイトにいってみると、すごいしっかりとしたショッピングカート。多分、クレジットカードも使えるし、品揃えも非常に豊富。 地下鉄の中では少ないDVDしかカバーできないけれど、サイトに来て古い映画とかに興味を持ってもらえばいっぱい買ってもらえる。
さて、それじゃぁ、3人目の男は何をやっているのか?彼は在庫係と集金係。大量の違法DVDの在庫を抱えて電車に乗ってきているから、2人だけでは足りない。4,5分しかない限られた時間の中で商品配布、集金などをしないといけないので一人の男がついてる。 チラシ配布係、販売係、在庫と財務係と完全分担制。
もう、この3人組のDVDは売れまくり。電車の中でも売れてるんだから、サイト上でも売れまくっていると思う。
違法のDVDだから、粗利は少ないし全然まともなビジネスでは無いのだけれど、しっかりと集客商品、バックエンド商品、販売システムを作ってリバレッジを利かせてやっているので関心しました。
商品単体で競争力が持てない場合は、組織力と販売システムを構築する事で、競争力が上がるのだな。と感じました。
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