キョンシーが大ヒットした理由とは? | マーケティング戦略研究   

2009年7月1日水曜日

キョンシーが大ヒットした理由とは?

~振り子理論と売れる映画の法則~


今から、20年くらい前に大ヒットしたキョンシーを覚えてるかな?

お札を額に張って、手を前に突き出して、ぴょンぴょン跳ねて前に動くゾンビ。それがキョンシー。

最近、ふと気になって、YOUTUBEでキョンシーと検索してみた。

そしたら、出るわ出るわ。懐かしいキョンシー動画の数々

今、改めて見るとこのドラマは本当に良くできてる。

映画の世界でも、マーケティングの世界でも振り子理論って言うのがあって、非常に良く使われている手法がある。

この手法は別に高度な技術とかって訳では無くて、観客が意図する感情とは全く別の結末を示して驚かせたり、感情を揺さぶる事で感動を得たりするんだよね。

例えば、映画の世界では、北野たけし監督は、自分の映画が残酷だというイメージが観客に浸透してきた所で ファミリー向けの映画を作ったりとか、全く逆のコンセプトの映画を作る様にしているらしい。

他にも、ストーリーの中で使われる例もある。

ある理由で冒険に出る事を拒み続けてきた勇者があるきっかけで、冒険に出る事を決意し大活躍をする。

何かがすごい苦手で失敗ばかりしていた主人公が、あるきっかけで信じられない位の上達をして大活躍をする。

ストーリーの最初と最後のふり幅が多ければ多いほど、感情のふり幅も大きくなり観客を魅了する。

アダルトビデオのタイトルでも、「淫乱女子高生」と、「淫乱」と「清楚な女子高生」の組み合わせで、意外性が生まれるので感情が揺さぶられる効果がある。

感情をゆさぶる事は最高のエンターテイメントであり、「振り子理論」はその中心的な役割をしてる。

キョンシーとこの振り子理論ってどんな関係がっていうと、 キョンシーはこの「振り子理論」の使い方がずば抜けて上手い!

キョンシーのオープニングは必ず、中国人の一般の家庭とか、のんびりした雰囲気で始まる。
そんな所に、何かのハプニングが起こって徐々に人々の生活の中に異変が起こり始める。

お供え物の線香が消えてしまったり、突然床が一定のリズムで揺れたり、原因はキョンシーで無い場合もあるのだけれど 観客側はこの時点で「何時キョンシーが現れるのか?」すごいドキドキしてくる。

そこにキョンシーの暴走が始まる。物を壊して、生き血を吸おうと人を襲い始めるキョンシー。

ところが、その後に急に異変が起こり始めて、映画キョンシーは「ホラー」から「コメディー」に変わる。 果敢な勇者が現れてキョンシーを倒そうとしたりするのだが、戦いの最中の一瞬一瞬に細かく笑いが入る。

もう文章で説明しても分からないと思うから、この動画見てください。


中国語で見てて何言ってるんだかさっぱり分からないんだけど、恐怖感を覚えるし笑っちゃう。

ちなみに、映画のストーリーの中で振り子理論を演出するのには、繊細さが重要になる。

緻密で無い大雑把なストーリーでは観客がついてこれないし、あまりにみすぼらしいセットや衣装だと現実からかけ離れているから感情移入ができない。音楽も観客の感情に合わせて流さないといけない。戦いのシーンの一瞬一瞬でもそう。中国映画特有のワイヤーアクションと、カンフーを取り入れて戦いを緻密で細かい流れが組み立てられてる。

ホラーとコメディーと正反対にある物を組み合わせて、緻密なストーリーで仕上げられたキョンシー。

こういう出来の良い映画はそうそう無い。

間違いなく、キョンシーは映画至上最高の一本だと思います。


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